2023-11-28
第12回 節税・節保シリーズ ⑧欠損金、⑨来期以降の決算対策 編
中小企業の経営者の皆さんに、より役立つ情報をお届けいたします。
前回からの続きで、下記の10個のカテゴリーに分けて70個前後の、お金が残る節税案をご紹介いたします!
損益計算書項目の、①売上・仕入原価、②給与、③その他経費項目、
貸借対照表項目の、④減価償却資産、⑤棚卸資産、⑥有価証券、⑦その他の資産、
組織的全般項目の、⑧税率・欠損金、⑨来期以降の決算に向けて、⑩M&Aの検討。
また、経済産業省が中小企業を後押しするために、国が公認している中小企業に優遇されている
節税策を紹介しているパンフレットデータがあります!毎年9月頃発行されていて、このブログの概要欄にURLを
貼り付けておくので、顧問税理士さんのご案内が無い場合が多いので、見ておいてくださいね♪
令和5年度版:中小企業税制→こちら
今回の目次は、コチラ。組織全般項目から、税率、欠損金、来期以降の決算に関する6個の節税案です!
Q69.前年度は利益が出て多額の納税をし、今年度は赤字になりそうですか?(税金の繰戻還付!)
Q70.前期よりも業績が著しく悪く、中間納税の支払いが負担となりますか?(仮決算節税!)
Q71.今期の役員報酬額をいくらにするか迷っていますか?
Q72.B to C 向けの高収益の事業部門がありますか?(事業譲渡or新設分割節税!)
Q73.そろそろ、新規上場(新規IPO)をお考えですか?(資産管理会社で株価対策節税!)
Q74.そろそろ、事業承継をお考えですか?(贈与税、相続税の納税猶予!)
★⑧欠損金★
Q69.前年度は利益が出て多額の納税をし、今年度は赤字になりそうですか?
はい!の方は、前年の納税の一部を還付させることができるぜ!(法人税又は所得税の繰越し及び繰戻し)
青色申告である中小法人や個人事業主は欠損金(税務上の赤字)が生じた場合、欠損金を翌期以降に繰り越せるぜ。法人であれば10年間、個人であれば3年間、翌期以降の所得から損金として控除することができるので、法人税や所得税の負担を軽減することができるんだぜ。
また、前期に法人税又は所得税の支払いがあれば、今期の赤字を繰り越すのではなく、前期の所得に繰り戻すことで、欠損金の分だけ法人税又は所得税の還付を受けることができ、これも法人税又は所得税の負担を軽減できるんだぜ!
前年の税金を、今期の赤字に照らして還付してくれる「繰戻還付制度」は、法人だけの制度と思われがちだけど、所得税もあるから要チェックだぜ!
(国税庁見解:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除/法人)→こちら
(国税庁見解:No.5763 欠損金の繰戻しによる還付/法人)→こちら
(国税庁見解:No.2070 青色申告制度/純損失の繰越しと繰戻し/個人事業)→こちら
★⑨来期以降の決算に向けて★
Q70.前期よりも業績が著しく悪く、中間納税の支払いが負担となりますか?
はい!の方は、6ヶ月間で、仮決算を行おうぜ!
前期が思った以上に利益が出て、今期が新型コロナウィルスの影響などの災害の影響を受けた時のように、当期が凄く赤字の場合に、当期の最初から6か月間の実績を基に中間申告と、納税をすることができるぜ。
その際に、注意なのは、税理士などに申告をお願いしている場合は、決算料や申告料が発生するので顧問税理士に確認が必要だぜ!
(国税庁見解:No.6609 中間申告の方法/仮決算に基づいて申告・納付する場合/消費税)→こちら
(国税庁見解:仮決算の中間申告/申告の種類と内容/法人税)→こちら
(国税庁見解:仮決算における損金経理の意義)→こちら
71.今期の役員報酬額をいくらにするか迷っていますか?
はい!の方は、目安として、1年間事業を行って増やしたい預金の金額を決めようぜ!
今期に増えるお金は、単純に考えれば、「税引後当期利益に減価償却費を足して、返済した借入金の元本の金額をマイナスした後の金額」だぜ!
業績が一定という前提で、この金額が増やす希望額に届かなければ、役員報酬を減らした方が、法人にお金は残っていくから、覚えておくんだぜ!
Q72.B to C 向けの高収益の事業部門がありますか?
はい!の方は、新規会社を設立して、その会社にその高収益の部門を事業譲渡しようぜ!
資本金が1,000万円未満であれば、1期目、2期目は消費税の納税義務がなく、ビジネスモデルがBtoCがメインであれば、消費税インボイス制度も気にしなくても良いぜ!
また、交際費の損金参入枠も2社分使えるし、その他にも利益を分けることで法人税の軽減税率(800万円以下の所得に対し15%)を使えるなどのメリットがあるぜ!新会社に事業を渡し、1つの会社で受けることができる枠を最大限に活用しようだぜ!
(国税庁見解:No.5759 法人税の税率/800万円以下の法人税の軽減税率)→こちら
Q73.新規上場(新規IPO)をお考えですか?
はい!の方は、プライベートカンパニー(資産管理会社)を設立して、自社の株価が安い内に、自身が持つ自社株を売却しようぜ!
上場準備中の株主(オーナー)の場合、上場前の段階で資産管理会社に株式を移転しておくことで、上場後の株価の値上がり益に対する、相続税の節税に繋がるんだぜ!つまり、これは「相続税の節税」=「会社の財務基盤の安定」という真の目的があるんだぜ!
上場会社の株主が株式の価値が多額だったとしても、手元にそれだけのお金があるわけではないぜ。そこで、多くの相続人はオーナーから相続したばかりの会社株式を換金して、相続税支払うことになってしまうんだぜ。相続が発生していなくても、単純に上場したあとに、株価が10倍以上になることもよくあるので、その値上がり益を個人で受けなくても良くする手法が、現在の主流なんだぜ。
そして多くの場合、会社(自社)がその株式の買い手となり、いわゆる「自社株買い」によって会社から相続人にお金が渡るということになり、言い換えると、会社がオーナー家の相続税を支払う、ということになるはめになるぜ!このことにより、会社の財務基盤が揺らいでしまうのを防ぐ、プライベートカンパニーはこのような予防効果もあるんだぜ!
Q74.そろそろ、事業承継をお考えですか?
はい!の方は、新規会社を設立して、その会社にその高収益の部門を事業譲渡しましょう。
自社株(非上場)や個人事業の事業資産の譲渡・相続により、贈与税や相続税の負担が過大になりそうな場合は、贈与税や相続税の猶予、特定事由発生の場合は全ての贈与税や相続税の免除を受けられる、「事業承継税制」の検討をしようぜ!
この税制を受けるためには、「特例承継計画」を令和6年3月末日までに都道府県に提出する必要があるけど、この期限が3年間の延長が予定されているから、顧問税理士からの情報や税制改正を、要チェックだぜ!
(国税庁特設ページ:法人版事業承継税制)→こちら
(国税庁特設ページ:個人版事業承継税制)→こちら
今回は、組織全般項目から、税率、欠損金、来期以降の決算に関する節税策や注意点を紹介したぜ。結局は、税務調査に耐えうる入念な準備をしているか。これに限るぜ。
次回は、いよいよ最後!OFBグループが最も得意とするコンサルティング業務、「M&A」を検討した節税策や基本的な財務戦法をお届けするから、楽しみにしといてくれよな。