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節税・節保

2023-11-27

第11回 節税・節保シリーズ ⑤棚卸資産、⑥有価証券、⑦その他資産編(貸借対照表)


この節税、節保シリーズは、となっぴぃ☆の友達であるとらっぴぃ★が、
中小企業の経営者の皆さんに、より役立つ情報をお届けいたします。

 

前回からの続きで、下記の10個のカテゴリーに分けて70個前後の、お金が残る節税案をご紹介いたします!
損益計算書項目の、①売上・仕入原価、②給与、③その他経費項目、
貸借対照表項目の、④減価償却資産、⑤棚卸資産、⑥有価証券、⑦その他の資産
組織的全般項目の、⑧税率・欠損金、⑨来期以降の決算に向けて、⑩M&Aの検討。

また、経済産業省が中小企業を後押しするために、国が公認している中小企業に優遇されている
節税策を紹介しているパンフレットデータがあります!毎年9月頃発行されていて、このブログの概要欄にURLを
貼り付けておくので、顧問税理士さんのご案内が無い場合が多いので、見ておいてくださいね♪
令和5年度版:中小企業税制→こちら

 

★⑤棚卸資産編★

Q61.商品在庫の中に、季節商品の売れ残りなどがありますか?


はい!の方は、在庫として残したままでも、商品(期末棚卸資産)の評価損を計上できるぜ!

税法は、① 著しく陳腐化した場合、② 破損や品質劣化などの場合、③ 災害などによって損傷した場合と、大きく分けて3つの場合に、当てはまると在庫の評価を落とすことができることとしているぜ!この際に注意が必要なのは、それぞれの場合に証拠資料を残しておくことなんだぜ。

①の著しく陳腐化した場合であれば、新製品のカタログ、チラシ商品の販売実績の低下を証明できる集計表、中古市場、WEB市場の価格表など。
※売却市場がある場合・・・中古市場、ネット販売など売却市場での価格表など期末前後での販売実績に基づく価格、顧客との契約により取り決められた価格
※売却市場が無い場合・・・在庫セール(予定・実績)の価格、他社類似品の期末前後の販売価格表、過去商品の下落率などがわかる販売実績表

②の破損や品質劣化などの場合であれば、破損、型崩れ、棚ざらしになっている状況の写真、正常品(品質劣化する前)の写真など。

③災害などによって損傷した場合であれば、災害等の様子が掲載された新聞記事、災害によって損傷した商品などの写真、災害現場の状況報告書などを準備しておくと、税務調査の場面で有効になる可能性が高いぜ。

(国税庁見解:棚卸資産の評価損)→こちら

 

★⑥有価証券編★
Q62.含み損のある上場(証券取引所の相場にある)有価証券がありますか?


はい!の方は、次の要件を満たせば評価損を計上できるぜ!

上場有価証券の評価損は、取得時の1株あたりの株価をいくらだったかを改めて把握し、① 事業年度終了の時における価額が帳簿価額のおおむね50%以下で、かつ、② 近い将来に回復の見込みがなければ、含み損の金額を評価損として経費に計上できるぜ!

この評価損を計上した場合は、時価法による評価損益と異なり、翌事業年度での、いわゆる洗替計算をして、利益に戻す必要は無いので、要チェックだぜ!

(国税庁見解:上場有価証券の評価損に関するQ&Aの公表について)→こちら
(国税庁見解:市場有価証券等の著しい価額の低下の判定)→こちら
(国税庁見解:No.5574 有価証券の評価損が認められる場合)→こちら

 

63.含み損のある非・上場有価証券(上場有価証券以外)がありますか?


はい!の方は、次の要件を満たせば評価損を計上できるぜ!

非・上場有価証券の評価損は、①発行法人の資産状態が著しく悪化し、②その価額が帳簿価額のおおむね50%以下であり、かつ、③近い将来に回復の見込みがなければ、含み損を評価損として経費に計上できます。

この場合、発行法人の資産状態が著しく悪化、をどうやって見るかだけど、有価証券を持っているということは株主なので、株の発行法人の決算書を見る権利があるぜ。

そこで、決算書のうち、貸借対照表の純資産が、債務超過になっており、事業計画書や金融機関からの借入に対してリスケを行っている場合は、資産状態が著しく悪化したと言えるから、要チェックだぜ!

(国税庁見解:No.5574 有価証券の評価損が認められる場合)→こちら

Q64.スタートアップ企業(ベンチャー企業)の新規発行株式を取得しましたか?

はい!の方は、株式の取得価額の25%を課税所得(利益)から控除することができるぜ。(オープンイノベーション促進税制)

スタートアップ企業との協働で新規事業開拓などを行うために、一定規模の法人が、スタートアップ企業に1,000万円以上出資した場合、その株式の取得価額の25%を課税所得(利益)から控除することができる、通称、「オープンイノベーション促進税制」だけど①出資を受ける側と、②出資側で要件があるぜ!

①出資を受ける側のスタートアップ企業の要件として、株式会社であること、設立後10年未満であること、グループ会社が株を過半数持っていないこと、既に事業を開始していることなど、があるぜ!

②出資をする側の要件として、現金出資であること、一定規模の中小企業の場合は1,000万円以上からの投資であること、取得株式を3年以上保有予定であること、経済産業省の証明書などの交付をもらうなど、が必要だぜ!

ただし、3年以内(令和4年3月31日までに取得した株式については、5年以内)にその株式の処分等をした場合は、一定額が利益に足し戻されてしまう、通称「益金参入」されてしまうので、注意が必要だぜ!

(経済産業省資料:オープンイノベーション促進税制(新規出資型))→こちら
(経済産業省資料:オープンイノベーション促進税制(M&A型))→こちら

 

Q65.売掛金、未収金、貸付金、受取手形など、資金回収まで持っている債権はありますか?


はい!の方は、資金が出ていかない代表的な節税、「貸倒引当金」を計上して、節税しようぜ!

そもそも、貸倒引当金とは、将来発生する可能性が高い特定の損失、また費用に対して設定するべきものとされており、引当金を貸借対照表に表示することで、投資家などに有用な情報が提供できるものして、設定されるんだぜ。

こちらの節税の注意点として、対象となる債権とならない債権があるということと、一括して対象債権まるごとに対して、業種ごとに税務上設定されている、法定繰入率を乗じて算定する方法などや、個別的な債権の状況により、設定する方法とがあるから、下記、概要欄の国税庁URLを要チェックだぜ!

(国税庁見解:No.5500 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲)→こちら
(国税庁見解:No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定)→こちら
(国税庁見解:個別評価金銭債権に係る貸倒引当金)→こちら

 

Q66.資金回収できる可能性が極めて低い、不良債権がありますか?


はい!の方は、債権のほぼ全てを、「貸倒損失」として計上しようぜ!

具体的な手続きの流れや確認方法として、債権放棄の内容証明郵便を送る等の手続きを実行し、
① 会社更生法等により金銭債権が切り捨てられた場合、
② 債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合、
③ 取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過した場合、

などの場合は、貸倒損失として、計上できるから、下記、概要欄の国税庁URLを要チェックだぜ!

 

(国税庁見解:No.5320 貸倒損失として処理できる場合)→こちら

 

Q67.創立費、開業費、開発費など、会計上の繰延資産はありますか?


いいえ!の方は、会計上の繰延資産とは、かなり広い概念で捉えられる費用なので、安易に経費にしないよう、注意が必要だぜ!

そもそも繰延資産とは、前払費用及び資産の取得価額とされる費用以外の費用で、支出の効果が1年以上に及ぶもので、次の5つを言うから、覚えおくんだぜ。(①創立費、②開業費、③開発費、④株式交付費、⑤社債発行費)

①創立費は、会社設立のために支出した費用で、設立日までの、設立登記に必要な登録免許税や、定款作成費、事務所の契約費用、創立総会に関する費用などが該当するぜ!

②開業費は、会社の設立から実際に事業を開始するまでにかかった費用、土地や建物などの賃借料、広告費、名刺作成費などが該当するぜ!

③開発費は、新技術の開発や新市場の開拓などにかかった費用だぜ!ただし、毎年発生する経常費用を除き、新技術の開発にかかる費用や、新規市場の開拓のために支出した費用、経営組織の刷新に必要な費用などが該当するんだぜ!

④株式交付費は、新株発行や自己株式の処分にかかった費用など、株式関連の費用だぜ。株式募集にかかる広告費や、金融機関や証券会社に支払う取扱手数料、変更登記の登録免許税などが該当するぜ!

⑤社債発行費は、社債を発行するためや新株予約券を発行するために支出した費用だぜ。社債募集にかかる広告費や、金融機関や証券会社に支払う取扱手数料、目論見書や社債債券などの印刷費などが該当するぜ!

 

Q68.FC加盟一時金、敷金、礼金など、一定の要件を満たす税務上の繰延資産として、計上すべきものがあるのをご存じですか?


いいえ!の方は、会計上の繰延資産とは、かなり広い概念で捉えられる費用なので、安易に経費にしないよう、注意が必要だぜ!

そもそも、税務上の繰延資産とは、会計上の繰延資産に加え、
①自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
②資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
③役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
④製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
⑤①~④までに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用
などの、支出を言うんだぜ!

これらに、該当すると一気に費用計上できない税法上のルールとなっているので、下記、概要欄の国税庁URLをしっかり確認しておかないと、税務調査の際に否認される可能性があるので、かなり注意をしておくんだぜ!

(国税庁見解:税法上の繰延資産の意義及び範囲等)→こちら
(国税庁見解:税法上の繰延資産の償却期間)→こちら

 

 


 

今回は、棚卸資産、有価証券、繰延資産などの基本的な節税策や注意点を紹介したぜ。結局は、税務調査に耐えうる入念な準備をしているか。これに限るぜ。
次回は、欠損金制度や、来期以降の決算に向けた内容からの節税策をお届けするから、楽しみにしといてくれよな。

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