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人事・労務・社会保険

2023-09-26

中小企業が使える助成金シリーズ①~キャリアアップ助成金~


こんにちは!となっぴぃ☆です。
今日は、経営者の皆さんに活用していただける助成金、「キャリアアップ助成金」について解説します。

 

さて、皆さんは「補助金」と「助成金」の違い、わかりますか?
補助金も助成金も、国や地方公共団体から支給されるのは一緒です。
「補助金」は採択件数や金額があらかじめ決まっているものが多く、申請したものがすべて受給できるとは限りません。
一方、「助成金」は要件を満たせば受給できるものがほとんどです。今日のテーマである「キャリアアップ助成金」を含めた、厚生労働省が担当している「雇用関係助成金」が代表例です。要件を満たした事業者に対しては原則給付されます。
ただし、「助成金」や「補助金」という言葉には厳密な定義はありませんので、申請を検討されるときには必ず支給要件などを確認してから取り組んでくださいね。

では、あらためて「キャリアアップ助成金」についてお伝えしますね。
「キャリアアップ助成金」は、パート従業員、契約社員などといった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や賃金などの処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成される制度です。

キャリアアップ助成金には次の6つのコースがあります。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金を活用して非正規雇用の正社員化、処遇改善に取り組みませんか?」リーフレットより→こちら

今回は、申請されることが多い「①正社員化コース」について解説します。
申請の流れは次の通りです。


出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」パンフレットより→こちら

ポイントは・・・
①まず、管轄の労働局に「キャリアアップ計画書」を提出します。
そして
②正社員への転換規定が、就業規則に定められていない場合は、就業規則を改定します。
就業規則を改定したら、管轄の労働基準監督署に届け出ることも忘れずに!
③正社員化前と比較して、正社員転換した従業員の賃金額が3%以上上がっている必要があります。
④支給申請期限も忘れずに。転換後の増額した6か月分の賃金を支払ったあと、その翌日から起算して2ヵ月以内に申請してください。

「正社員化コース」の助成額は次の通りです。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」パンフレットより→こちら

パート従業員や契約社員のキャリアアップを考えて、正社員として戦力化を考えている経営者の皆さんには、とても有効な助成金だね!

「ぜひ我が社でも!」と思った経営者の皆さん、「キャリアアップ助成金~正社員コース~」のポイントと注意点を、もう少し細かくお伝えしますので、よく聞いてくださいね。
まず
①「キャリアアップ計画書」についての注意点
・キャリアアップ管理者を選任する必要があります。
経営者や役員でも、有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者として必要な知識及び経験を持っていれば、管理者になれます。ただし、労働者代表が兼任することはできません。
・従業員を正社員転換させる日の前日までに、キャリアアップ計画書を作成し提出する必要があります。

記入例はこんな感じです。


出典 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」パンフレットより→こちら

②正社員転換の規定を確実に就業規則に盛り込みましょう
~転換制度の就業規則等への規定例~


出典 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」パンフレットより→こちら

従業員が10人未満の事業所においては、労働基準監督署への届出義務がないので、就業規則を作成していないことがよく見受けられます。しかし、キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請するには、就業規則に転換ルール(手続き、要件、転換時期)が明示されている必要があるため、就業規則の作成は必須となります。届出義務はありませんが、かわりに
「就業規則申立書」を申請時に添付する必要があります。

③昇給や賞与・退職金の規定も就業規則や賃金規程に盛り込みます。
~昇給・賞与・退職金の就業規則等への規定例~

出典 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」パンフレットより→こちら

令和3年4月から、正社員転換後の賃金増額分が「5%」から「3%」に緩和されました。
一方、令和4年10月から正規雇用労働者(正社員)の定義に「賞与または退職金の制度」が追加されて、より「正社員」に見合った待遇が求められるようになったんだ。

就業規則だけではなく、雇用契約書や賃金台帳、出勤簿などの帳簿類も法令違反などの不備が無いように整えておかなければいけません。

④支給申請時の注意点
・支給申請ができるのは、対象従業員に増額された6ヶ月分の賃金を支払った後です。そのため、申請時点で分かったミスや誤りを後からさかのぼって修正することはできません。また、過去に多くの不正受給が発生したことから、キャリアアップ助成金の審査は以前より厳しくなっています。社会保険労務士など専門家に相談しておくことをお奨めします!
・転換後の増額した6か月目の賃金を支払ったあと、その翌日から起算して2ヵ月以内が申請期限です。くれぐれもお忘れなく!

  転換後6ヶ月目の賃金を支払った翌日から起算して2か月以内

 

最後に「対象となる労働者」「対象となる事業主」の主な要件をあげます。
<労働者要件>
・支給対象事業主に、6ヶ月以上非正規雇用労働者として雇用されている
・非正規雇用労働者として採用された際に、事前に正規雇用労働者にする「約束」をしていないこと。
・正社員化を行った事業所の事業主、取締役の3親等以内の親族でないこと。
・正社員化から定年まで1年以上はあること
<事業主要件>
・就業規則等に正社員転換制度を規定していること
・正社員化後6ヶ月間継続雇用し、3%以上増額させた賃金を支払っていること
・労働保険料の未納や労働法令違反をしていないこと
・正社員化後、対象労働者を雇用保険、社会保険に加入させていること
・正社員化した日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、解雇や会社都合退職を行っていないこと

キャリアアップ助成金の申請を検討されている経営者の皆様は、これらの要件にあてはまっているか、まずは確認してみてください。

2024年、来年10月には社会保険の適用拡大が、51人以上規模の事業所まで及びます。


出典 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト→こちら

今在籍する、非正規雇用労働者にどのように活躍してもらうか、今後の課題となります。
来年の社会保険適用拡大の先手を打って、非正規雇用労働者を積極的に登用されるのであれば、是非キャリアアップ助成金~正社員化コース~の活用をご検討ください。

今日は、キャリアアップ助成金~正社員化コース~について、解説いたしました。
ここまでお聴きいただきありがとうございました。

以上