2023-12-06
第13回 節税・節保シリーズ ⑩M&Aの検討 編(最終回)
中小企業の経営者の皆さんに、より役立つ情報をお届けいたします。
前回からの続きで、下記の10個のカテゴリーに分けて80個前後の、お金が残る節税案をご紹介いたします!
損益計算書項目の、①売上・仕入原価、②給与、③その他経費項目、
貸借対照表項目の、④減価償却資産、⑤棚卸資産、⑥有価証券、⑦その他の資産、
組織的全般項目の、⑧税率・欠損金、⑨来期以降の決算に向けて、⑩M&Aの検討。
また、経済産業省が中小企業を後押しするために、国が公認している中小企業に優遇されている
節税策を紹介しているパンフレットデータがあります!毎年9月頃発行されていて、このブログの概要欄にURLを
貼り付けておくので、顧問税理士さんのご案内が無い場合が多いので、見ておいてくださいね♪
令和5年度版:中小企業税制→こちら
今回の目次は、コチラ。組織全般項目から、M&Aに関する6個の節税案です!
Q75.個人株主である売手は、M&Aを通じて何が節税になるんですか?(退職所得と株式譲渡所得!)
Q76.売手が、個人株主である場合と、法人株主である場合とでは、どちらが株式譲渡を行う上では節税になりますか?(収入分離・過大控除累進税率・軽減固定税率課税か、全収入合算・固定税率課税!)
Q77.事業譲渡の場合、売手と買手では、どのような税金が課されますか?
Q78.会社所有の不動産を、不動産単体で売却するか、会社ごと売却するのと、どちらが節税になりますか?(会社分割節税!)
Q79.赤字企業を買収、合併することで節税を検討されていますか?(節税目的は利用不可能!)
Q80.M&Aの仲介業者へ支払う、手数料が高すぎます。何か、国からの補助金は無いですか?(事業承継・引継ぎ補助金!)
★M&Aの検討★
Q75.個人株主である売手は、M&Aを通じて何が節税になるんですか?
ズバリ!個人所得税で、1番節税効果が高い、退職所得と株式譲渡所得で収入を得ることが出来るのがM&Aだぜ!
①起業をして、バリバリ稼いでいこうとする起業家、②既に事業を大きくしている若手経営者、そして、③後継者がおらず事業承継しようと考えている経営者、全員に言えることだけど、個人で収入を得るのに、租税回避でも何でもなく、所得税の負担が少なくするのは、「給与所得」でガッツリ毎年収入を取るのではなく、事業の出口でガッツリ収入を得る、「退職所得」と「株式譲渡所得」に持っていくことなんだぜ。
この出口から考えて事業をしていくということが本当に重要でアドバイスしてくれる身近な存在が、決算書や申告書を作成する税理士。だから、出口戦略を考えられる税理士が一番、経営者の皆さんにとって経済的利益をもたらしてくれるはずだぜ!
だから、変に節税をしまくって、会社のお金や利益などの内部留保を貯めずに経営するのではなくて、「何年後かには必ずM&Aをする」ということを逆算で決めて、
①1年、3年の事業利益計画策定
②役員報酬設計
③保険積立等の簿外資産設計
④毎年の適度な節税対策
のようなアドバイスをしてくれて、M&Aに強く、高く売れる決算書を逆算して作成してくれる顧問税理士に相談!
まさにOFBグループが最適な相談相手になってくれるぜ!
(国税庁見解:退職金と税)→こちら
(国税庁見解:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税))→こちら
Q76.売手が、個人株主である場合と、法人株主である場合とでは、どちらが株式譲渡を行う上では節税になりますか?
ズバリ!個人向けの税制や税率、制度の枠組みが全然違うから、次の、5つの比較step解説をチェックだぜ!
(比較step1)
まず、個人の所得税制は、「①10個の収入に分けてから、かつその上で、他の収入から出た利益を合算して課税する「②総合課税」、と、どれだけ稼ごうが他の収入から得た利益とは合算しない「③分離課税」があるぜ!
さらに個人所得税では、「④累進課税」と「⑤固定税率」があるので、②の総合課税は累進税率一択であるけど、③の分離課税は、累進税率と固定税率で分かれるけど、かなり税負担が軽減されているんだぜ!
(比較step2)
次に法人税制は、法人の収入から得た利益=所得、1つに対して、約30%の固定税率であるという点が個人所得税制とは違う点、つまり、この約30%、というのが節税のポイントとなるんだぜ。結論、M&Aにおいて個人がかなり優遇されている税制になっているということが、この段階でもわかるぜ。
(比較step3)
個人では、
①分離課税でかなり、かつ、売上に対応する支出が無くても、役員就任年数に応じて、収入から巨額の控除があり、また、その「控除をした後の残り金額を更に半額」にしてしまう「退職所得」と、
②完全に他の収入とは分離し、所得税と住民税を合わせても、20.315%の固定税率で止まってくれる「株式譲渡所得」とに分けれるのに対して、
(比較step4)
法人は、どんな収入から得た利益でも、一律約30%の税金がかかるという点において、既に個人の税率だけ比べても10%も開きがあるんだぜ!これが、節税のポイントとなってくるんだぜ。
(比較step5)
なので、次の比較表にもあるように、M&Aするんであれば、個人所得で受けた方が節税にはなるのは間違いないんだぜ!ただし、法人の場合は、10年分の繰越欠損で相殺できる等のメリットもあったり、個人では、相続税の取得費加算などもあるので要チェックだぜ!
(国税庁見解:No.5759 法人税の税率)→こちら
(国税庁見解:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)→こちら
77.事業譲渡の場合、売手と買手では、どのような税金が課されますか?
ズバリ!消費税の納税やインボイス制度、印紙税に要注意だぜ!
事業譲渡は、個人事業の譲渡や法人の事業の一部を売却していく手法だけど、この譲渡で利益が出れば、
所得税や法人税以外にも、税金が発生するんだぜ!
事業譲渡の場合に注意が必要なのは、消費税が課されるものと課されないものが混在するということだぜ。例えば、
消費税の課税対象:土地以外の有形固定資産、繰延資産や著作権などの無形固定資産、棚卸資産、のれん(営業権)など
消費税の課税対象にならないもの:有価証券、土地、債権 などがあるぜ!
あともう一つ、株式譲渡契約には印紙税がいらなんだけど、事業譲渡契約書を紙で作成する場合は印紙税、つまり
印紙を契約書に貼らないといけないんだぜ!これを節税しようと思えば、Q35でもお伝えしたけど、電子契約に
してしまえば、印紙代の節税にもなるぜ!
最後に、消費税インボイス発行取引対象取引にもなっているので、これも忘れずに要チェックだぜ!
(国税庁見解:営業の譲渡をした場合の対価の額/消費税)→こちら
(国税庁見解:営業の譲渡の意義/印紙税)→こちら
Q78.会社所有の不動産を、不動産単体で売却するか、会社ごと売却するのと、どちらが節税になりますか?
ズバリ!完全支配関係が成立する、会社分割を利用した、不動産M&Aを検討しようぜ!
M&Aの買手希望者が、① 買手が、不動産付きの特定の事業だけが欲しい場合や、② 買手が、特定の不動産のみ
欲しい場合などに活用されるぜ!
※右の図解を、画面いっぱいに表示して、↓の文字の読み上げをお願いします。
新会社若しくは、既存の会社に、買手が希望する特定の事業以外を会社分割で移転し、移転しなかった会社の株式を買手に売却してしまうという手法が有効だぜ!この場合は、不動産だけを売却すると含み益が相当出るような場合、よく活用されるぜ。購入企業が法人であれば、直接買手の会社へ会社分割しても良いかもしれないぜ!
また、会社分割を利用することで、売手側は、
①建物部分への消費税の課税売上が認識されない、
②包括承継なので、契約の再締結が不要など、引継ぎ手続きが最小限に抑えられる買手側でも、
③不動産取得税や登録免許税、契約書の印紙税の支払いが無い、
④税金面を考慮した、不動産価格の交渉が出来るなどのメリットもあるので、覚えておくんだぜ!
しかし、会社分割には債権者保護手続きや税務上の適格要件が揃っているかなど、相当程度、複雑な手続きを
要することになるので、OFBグループのような、M&Aに精通した税理士がいる専門業者に相談するのが一番だぜ!
(国税庁見解:企業グループ内の分割型分割における株式の保有関係について)→こちら
(経済産業省資料:企業グループや組織再編に係る税制の整備)→こちら
Q79.赤字企業をM&A(買収、合併)することで節税を検討されていますか?
ズバリ!かなり厳格な要件をクリアしないと、赤字会社の繰越欠損を利用できないので、要注意だぜ!
M&Aをする際には、会社間のシナジーがあるというのが大前提だぜ。赤字を相殺させる目的でM&Aを利用すると問答無用で税務署は否認してくるので、主に次の要件を確認することが重要だぜ!
①共同事業再編による適格合併
②支配関係発生の5年後より後に合併
・両社の事業に関連性があり、かつ、当該事業同士の
③売上高が5倍以内のときに合併、④ 従業者数が5倍以内のときに合併、⑤ 資本金が5倍以内のときに合併
⑥両者の事業に関連性があり、かつ、合併法人後の特定役員を合併前の両法人の特定役員から選任する
このような要件を満たせば、赤字会社の欠損金を吸収することが出来るけど、上場会社であっても否認されるケースがあり、この取扱いには、①首尾一貫した理論武装、②関連資料の整理、③税務意見書の準備、④国税庁への事前照会、⑤適切な税務申告書の提出=書面添付制度の活用、など、入念な準備が必要であることを覚えておこうだぜ!
(国税庁見解:組織再編=M&A時の欠損金の繰越し)→こちら
(国税庁見解:被合併法人と合併法人との間に当該合併法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係があるかどうかにより引継制限の有無を判定する場合など)→こちら
(国税庁見解:「組織再編税制」に関する事前照会について(Q&A))→こちら
Q80.M&Aの仲介業者へ支払う、手数料が高すぎます。何か、国からの補助金は無いですか?
ズバリ!令和6年現在では、最大800万円が補助される、「事業承継・引継ぎ補助金」を活用しようぜ!
事業承継・引継ぎ補助金というのは、M&Aなど、事業承継を契機として、経営革新等を行う中小企業・小規模事業者に対して、その取組に要する経費の一部を補助するとともに、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する事業を行うことにより、事業承継、事業再編・事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的とする補助金だぜ!
一定の期間、継続して募集している補助金になるので、以下のようなスケジュール感で常に動いているぜ!
また、それぞれの補助上限は次の通りだぜ!
この申請には、GビズIDプライムというものを取得しないといけないので、取得していない人は今からすぐに取得することをお薦めするぜ!
(Gビズプライム:GビズIDクイックマニュアルgBizIDプライム編)→こちら
(事業承継・引継ぎ補助金事務局パンフ:M&A仲介料(専門家活用)補助金)→こちら
(事業承継・引継ぎ補助金事務局パンフ:M&A後の設備費、外注費などの営業費用(経営革新事業)補助金)→こちら
今回は、組織全般項目から、M&Aに関する6個の節税策やかなり得をする補助金情報を紹介したぜ。
今回で節税シリーズは終わりだ。結構、参考になる事項もあったんじゃないのかな。だけど、結局は、税務調査に耐えうる入念な準備をしているか。これに限るぜ。そこで、俺が#yodo先生から担当を任された、新しいシリーズ、「実務でよく使う税務調査の事例を簡潔に紹介!」、シリーズが、また令和6年から始まるから、楽しみにしといてくれよな。